メルカリは赤字でヤバいのか?
この前、エンジニア学生のなかで赤字って大丈夫なのかな?という話題が出ました。
今回はメルカリを例に考えてみたいと思います。
どれくらいヤバそうなのか
メルカリは毎年赤字を拡大しています。
2018年6月期(18.6)の期末決算では70億円の赤字、19.6は130億円の赤字、更に20.6では220億円の赤字となっています。
一方、超有名な大企業は黒字で安定してます。
例えば、20.3の期末決算でNTTデータは750億円の黒字で、毎年安定して利益をあげています。
これだけを見ると、メルカリは不安定に見えてきますよね。
企業にはフェーズがある
大きく2つに分けると企業には成長期と、安定期があります。
メルカリは稼いだ分以上に使っていますが、その差額は銀行や株主からの資金調達を行って払っています。
将来の黒字化で貸し付けたお金は帰ってくると期待されているため、赤字が拡大しても許されます。
では、どうやって企業のフェーズを判断するのでしょうか?
売上高
メルカリの売上高は急成長しています。
売上高のグラフを見てみましょう。
まず20.6では760億円を売り上げている事がわかります。これは前年比+40%になっており、とんでもない成長率です。
また、この成長率を今年だけでなく毎年生んでいるという部分が特に驚異的です。
右にNTTデータを貼り付けましたが、前年比マイナスになっておりコロナの特殊要因を考慮しても急成長のフェーズにあるとは言えません。
赤字が発生する理由
メルカリは広告宣伝費にお金をかけているため、利益が残りません。760億円が手元に入ってきているのに、220億円もの損失を生んでいます。
その理由を確認するには、損益計算書を見ましょう。
右側が売上高で、左側に売上高が何に使われたかが書いてあります。
メルカリでは、売上高のほぼ100%を一般販管費という項目で使い尽くしているようです。
有価証券報告書には、
販売費及び一般管理費は主に広告宣伝費340億円、支払手数料140億円、給料70億円によるものであり…
とあります。
広告宣伝費がなぜこんなに多いのか?
より多くの新規ユーザーを囲い込む成長フェーズにあるからです。
広告宣伝費には、例えば以下のようなキャンペーンに使うお金が含まれます。
メルカリはこのようなキャンペーンを行っているのをよく見ますよね。
このキャンペーンでは一人3000円まで還元され、MAUは1700万人です。
仮に1/4の人が3000円上限までもらったとしても120億円近くになります。
このようなバラマキをやめれば、メルカリはすぐ黒字に転換するはずです。なのにしない。
つまり、その気になればいつでも黒字にできるのにあえてしないという会社の姿勢が財務諸表から読み取れます。
ゆえにメルカリは成長フェーズであると判断できます。
将来性があるのか?
あります。
まず、メルカリは安定した事業を持った上で挑戦をしています。
フリーマーケットのメルカリJP事業だけで見ると既に黒字化しており、営業利益183億円が存在します。
極端な話、現時点で注力するメルペイやメルカリUSに全て失敗しても撤退すれば、毎年183億円を稼ぐだけの力は残るということです。
次に、メルカリ経済圏を確立して相乗効果が生まれる可能性が高いです。
メルカリでモノを売ってメルペイで支払う、その商品をメルカリで売る、この流れが生まれればその中間で手数料を取ることができます。
メルカリでモノを売るということが、主要な入金手段になればメルカリ経済圏の流通額の10%を売上にすることができます。
そのため、現在はメルカリ経済圏の出口としてメルペイに注力しているのだと思います。
後払い・定額払いはヤバい
あまり本題と関係ないですが後払いと定額払いが頭良すぎて別の意味でヤバいです。
最近後払い、定額払いなどの新規顧客向けのキャンペーンが始まっています。後払いにすることによって、先に買って後でモノを売って払う間接的な借金の「モノ払い」ができます。
通常、欲しい物があるときと、モノが売れるときには時差があります。これ買いたいからこれが売れるまで待って!ということですね
この後払いの時差を運営が許すことによって、来月までにメルカリでモノを売って「モノ払い」してくれる確率を上げる事ができます。そして、支払額の10%を「モノ払い」の手数料として得ることができます。
もし全ての後払いをモノ払いで払ったとして、月利10%! その上、メルカリの市場の流動性を上げることもできます。
来月もメルカリ経済圏から逃さない、この仕組み考えた人、頭いいですね!
つまり、既に顧客の新規獲得フェーズから、定着フェーズに移行しているようです。
定着したらあとは手数料を増やす・上げるだけなので、メルペイ黒字化もそんなに遠くないんじゃないかな~と思います。
結論としては赤字でも全然ヤバくなんかない、むしろ成長率がヤバいというお話でした。